e-TaxもeLTAXも、9月19日から同時に止まる ― 国税・地方税そろっての更改で、9月末期限の会社に残るのは実働5日
システムメンテナンスのお知らせは、たいてい読み飛ばされます。今回は特に読み飛ばされる条件が揃っていて、止まるのが5連休のあいだ、しかも国税と地方税が別々に告知しています。
令和8年9月19日(土)0:00から9月24日(木)8:30まで、e-Tax(国税)とeLTAX(地方税)が、同じ時間帯でそろって停止します。国税は国税システムの更改、地方税は第5期eLTAX更改で、更改日をどちらも9月24日に合わせているためです。さらにe-Taxには、eLTAXにはない9月26日(土)終日の追加停止があります。
「片方が止まってももう片方は動く」が成り立たない期間です。この記事では、何ができなくなるのか、自社に影響があるかをどう判断するか、更改後に何が変わるのかを整理します。
この記事の前提
停止日程は国税庁・地方税共同機構が公表しているもの(2026年8月時点)に基づいています。いずれも「予定」として告知されているため、9月に入ったら最終確認してください。
何が、いつ止まるのか
止まる時間帯を並べると、ズレは1か所だけです。
| 期間 | e-Tax(国税) | eLTAX(地方税) |
|---|---|---|
| 9月19日(土)0:00 ~ 9月24日(木)8:30 | 停止 | 停止 |
| 9月26日(土)0:00 ~ 24:00 | 停止 | 稼働 |
eLTAX側で止まるのは次の3つです。
- eLTAXを利用した電子申告・電子納付等(PCdeskからも市販の税務ソフト経由からも送信できない)
- eL-QR・eL番号を利用したキャッシュレス納付(地方税お支払サイト、スマホ決済アプリ)
- OSS(自動車保有関係手続のワンストップサービス)を利用した電子申告に伴う電子納付
ポイントは2つあります。止まるのは送信側だけでなく納付側も含むこと。そして、経路を変えても回避できないことです。ポータルセンタ自体が止まるので、PCdeskがだめなら会計ソフトから、という迂回はできません。
そして今回いちばん効くのが、9月26日(土)のe-Tax単独停止です。連休明けの24日・25日で送りきれず「土曜に片付ける」と考えていると、国税側だけもう一度閉まります。
なぜ気づきにくいのか
2026年9月の暦に理由があります。9月21日(月)が敬老の日、23日(水)が秋分の日、その間の22日(火)は祝日に挟まれた平日として休日になるため、9月19日(土)から23日(水)は5連休です。9月に祝日の谷間が休日になるのは2015年以来11年ぶりで、いわゆるシルバーウィークが成立する年にあたります。
日程の選び方としては合理的で、平日の停止は実質9月24日の午前中だけです。裏を返すと、「連休だから止めます」という告知は、休む前提の人には引っかからないということでもあります。連休明けに動き出せるのは9月24日(木)8:30からです。
判断軸:自社に影響があるか
次のどれかに当てはまるなら、8月中に段取りを決めておく価値があります。
1. 9月30日が申告期限にあたる
代表例は 7月決算法人 です。法人税・消費税の申告期限も、法人事業税・法人住民税の申告期限も、原則として事業年度終了の日から2か月後、つまり9月30日(水)。9月30日は水曜で祝日でもないので、期限は動きません。
システムが戻るのは9月24日(木)の朝なので、送信できるのは24日・25日・28日・29日・30日の 実働5日 です。しかも従来なら「国税だけ先に出しておく」という逃げ道がありましたが、今年はその逃げ道もありません。国税・地方税を同じ5日間に押し込むことになります。
2. 連休中や連休明けすぐに納期限がある
納期限が休日にあたる場合は翌開庁日に繰り下がるため、期限そのもので即アウトになるケースは多くありません。ただしeL-QRやスマホ決済で納付している事業者は、連休中に「払おうと思った瞬間」に払えません。金融機関窓口も閉まっているので、この期間は納付手段が実質ゼロです。連休前に済ませておくのが安全です。
3. 自動車の新規登録・移転登録を9月下旬に予定している
OSSに伴う納付手続が止まるため、登録日程そのものがずれます。ディーラーや行政書士と日程を握っているなら早めに共有してください。
逆に、特別徴収の納入(毎月10日納期限)だけをeLTAXで処理している事業者は、9月10日も10月の納期限も停止期間の外なので、今回はほぼ影響を受けません。
具体例で考える
7月決算の受託開発会社(従業員8名、東京都内1拠点)を想定します。例年、決算作業は9月に入ってから本格化し、9月下旬に申告を送信しています。
今年これをそのまま続けると、9月18日(金)までに決算を固められなければ、次に送信できるのは9月24日(木)の朝です。連休中に数字を詰める作業自体はできるので、送信ボタンだけが押せない5日間が生まれます。対策は「9月18日までに送信まで終える」「連休明けの24日・25日を送信日として先にブロックする」「決算作業の山を8月下旬に寄せる」のいずれかで、「連休が明けてから考える」だけは避けるのがこの記事の主旨です。
エンジニアなら先に確認したい:e-TaxのIPアドレスが変わる
国税システムの更改には、システム設定に関わる変更が含まれています。e-TaxのIPアドレスが、固定IPアドレスから動的IPアドレス(接続のたびに変化)に変更されます。 令和8年9月24日以降、IPアドレスを指定して接続している場合は、URLでの接続に変更する必要があります。
心当たりがあるのは、ファイアウォールやプロキシの許可リストにe-TaxのIPアドレスを直接書いているケース、自社の業務システムや常駐バッチからIP直指定で接続しているケース、閉域網・固定IP前提の環境で電子申告を運用しているケースです。これは申告期限ではなく接続できるかどうかの話なので、9月24日以降に初めて気づくと復旧に時間がかかります。
あわせて納付書・所得税徴収高計算書の様式も変わり、「整理番号」欄(8桁)が「お問い合わせ番号」欄(13桁)に置き換わります。自社システムやスプレッドシートで整理番号を保持している場合は桁数の見直しが要ります。申告書等の様式自体も、控用の廃止・白黒配色化などが同時に行われます。
更改で何が変わるのか(eLTAX側)
停止は目的ではなく手段なので、更改後に何が良くなるのかも押さえておきます。
サービス提供時間が24時間365日に … これまでは平日8時30分~24時が基本でした。更改後は、メンテナンス時間を除き24時間365日、電子申告・電子納付等ができるようになります。
GビズIDでログインできるようになる … eLTAXの利用者IDとGビズIDをひも付ければ、以後はGビズIDでログインできます。ただしGビズIDには2026年7月9日から有効期限(発行日から2年3か月)が新設されました(「GビズIDに「有効期限」ができた」参照)。ログイン手段をGビズIDに寄せるほど、GビズID側の期限切れが地方税手続の停止に直結します。ひも付けるなら期限管理もセットで考えてください。
「地方税お支払サイト」が「eLお支払サイト」に … 地方税以外の公金も納付できるようになるための改称で、国民健康保険料・介護保険料・道路占用料等の納付書にeL-QRが付いていれば同じサイトから納付できます。なお更改前に届いているeL-QR付き納付書は更改後もそのまま使えます(再送依頼は不要)。
給与支払報告書の提出はPCdesk(WEB版)へ … これまでDL版のみで可能だった手続の一部がWEB版に移ります。更改後、給与支払報告書の提出にはDL版ではなくWEB版を使ってください。 例年どおりDL版を開いて年明けに気づく、という事故が起きやすいところです。
ホームページが統合される … 「eLTAXホームページ」と「地方税共同機構ホームページ」が統合され、URLは https://www.lta.go.jp/ に一本化されます。社内マニュアルや顧客向け資料に eltax.lta.go.jp のURLを貼っている場合、更改後にリンク切れになる可能性があります。
セットで押さえたい:電子提出義務「30枚以上」
PCdesk(WEB版)への集約の背景にある改正がこれです。法定調書・給与支払報告書を電子データ(e-Tax/eLTAXまたは光ディスク等)で提出しなければならない基準が、令和9年1月以後に提出する分から「100枚以上」→「30枚以上」に引き下げられます。
判定の仕組みで一番間違えやすいのが、数える年です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 判定単位 | 法定調書の種類ごと |
| 数える年 | 前々年(基準年) |
| 数える対象 | 基準年に提出すべきであった当該法定調書の枚数 |
| 令和9年提出分の基準年 | 令和7年(=令和7年中に提出した分。給与所得の源泉徴収票なら令和6年分のもの) |
「令和7年分の源泉徴収票を数える」ではありません。令和7年中に提出したもの、つまり給与所得の源泉徴収票なら令和6年分です。ここを1年ずらすと判定が逆になります。
裏を返せば、判定に使う枚数はとっくに確定しています。9月まで待つ必要はなく、今すぐ数えられます。
法定調書の側の詳細は「法定調書の電子申告義務、令和9年から「30枚以上」に引き下げ」で整理しています。
よくある誤解
「e-Taxが止まってもeLTAXは動く(またはその逆)」
今年は成り立ちません。9月19日0:00から24日8:30は両方止まります。むしろe-Taxの方が停止が1日多い(9月26日の終日停止)ので、「国税は後回しでいい」という考え方が一番危険です。
「うちは自治体ごとの提出枚数が少ないから30枚基準は関係ない」
判定は税務署へ提出すべき法定調書の枚数で行われるため、各市区町村への給与支払報告書の提出枚数が少なくても、義務の対象になったら全ての市区町村に電子データで提出することになります。「A市に3枚だけだから紙でいい」は通りません。
「納期限が連休中なら自動的に延びるから何もしなくていい」
納期限の繰り下げ自体はそのとおりですが、eL-QRやスマホ決済で払っている場合、払える手段が連休中は存在しません。期限が延びることと、払いたいときに払えることは別の話です。
除外した選択肢
「停止期間中は紙で提出する」という回避策は推していません。電子提出に慣れた事業者が数日だけ紙に戻ると、様式の入手・郵送の段取りで結局それ以上の時間を使い、控えの管理も二重になります。しかも今回は申告書等の様式自体が更改で変わるため、この時期の紙は取り違えのリスクもあります。前倒しか後ろ倒しのどちらかに寄せる方が素直です。
まとめ
- 9月19日(土)0:00 ~ 9月24日(木)8:30、e-TaxとeLTAXが同じ時間帯で停止する。さらにe-Taxは9月26日(土)も終日停止
- 5連休(9/19~9/23)に重なるため気づきにくい。連休明けに動き出す前提だと9月30日期限まで実働5日しかなく、今年は「国税だけ先に出す」という逃げ道もない
- 影響が出やすいのは、7月決算法人・eL-QRで納付している事業者・9月下旬に自動車登録を予定している事業者
- e-TaxのIPアドレスが固定→動的に変更。IP直指定で接続している場合は9月24日までにURL接続へ切り替える
- eLTAX側は24時間365日運用、GビズIDログイン、「eLお支払サイト」への改称、給与支払報告書はPCdesk(WEB版)へ、ホームページのURL統合
- 電子提出義務は令和9年1月提出分から30枚以上。判定は令和7年中に提出した法定調書の枚数(種類ごと)なので、今すぐ数えられる
参考
- 国税庁:国税システムの更改について
- e-Tax:国税システムの更改に伴うメンテナンス時間について
- 地方税共同機構「eLTAX サービス停止のお知らせ」(リーフレット・PDF)
- eLTAX:令和8年9月のeLTAX更改に伴うサービス停止について
- 北海道:eLTAX更改に伴うサービス停止について
- 国税庁:e-Tax等による法定調書の提出が義務化されています!(PDF)
- 倉敷市:給与支払報告書の電子提出義務化について
- デジタル庁 GビズID:アカウントの有効期限について
決算期と停止期間が重なりそうな場合の段取りや、電子提出義務の判定については、ご相談ください。
この内容について相談したい場合は
無料相談を申し込む