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税務

郵便局から送った分、輸出免税の控えは2枚そろっていますか ― 小形包装物だと、その2枚が出てこないことがあります

2026-08-29/池田 信明

海外への発送を郵便局の窓口で済ませている場合、通関業者から回ってくるような立派な書類は手元に残りません。窓口でいくつか紙を渡されて終わり、という状態が普通だと思います。

ただ、その売上に消費税がかからない(輸出免税)ためには、「海外に送った」という事実だけでは足りません。決められた紙を保存していることが条件になっています。しかも郵便で送った分は、どの郵便種別で送ったかによって、残すべき紙が変わります。

この記事は、郵便局から送った分について何を残せばよいかだけを扱います。

結論を先に3行で

  • EMS・国際小包で20万円以下なら、窓口から戻ってくるEMS受取書とご依頼主控えの2枚を残します(国際小包の場合は「国際小包受取書」です)
  • 小形包装物は通常郵便物なので記録扱いされず、この2枚が出てきません。該当する方は差し出し方から見直しが必要です
  • 社内の発送記録(帳簿)や、相手からの受領書でよかったのは2021年9月30日までです

まず、自分がどの郵便種別で送っているかを確認します

ここが分かれ道なので、先に確認してください。消費税のルールは、郵便物を「小包郵便物・EMS郵便物」と「通常郵便物」に分けています(消費税法施行規則5条1項2号のイとロ)。日本郵便のサービス名と重ねると、次のようになります。

日本郵便のサービス名 消費税ルール上の区分 記録扱い
EMS(国際スピード郵便) 小包郵便物等(イ) される
国際小包 小包郵便物等(イ) される
国際エアパケット 通常郵便物(ロ) される
小形包装物 通常郵便物(ロ) されない
書状・印刷物など 通常郵便物(ロ) されない

日本郵便は小形包装物について、「小形包装物は、手紙やはがきと同じ通常郵便物ですので、記録扱いされません。記録が必要な場合は、国際エアパケットをご利用ください」と案内しています。あわせて、小形包装物の書留扱いは2025年12月31日で終了しています。

越境ECで単価の低い雑貨を送っている場合、送料の安さから小形包装物を主力にしていることがあります。まずそこを確認してください。理由は次の2つの章で書きます。

EMS・国際小包で20万円以下なら、窓口から戻ってくる2枚を残します

一番多いのはここだと思います。条文が求めているのは次の2つです。実物が何かが分からないと動けないので、日本郵便の書類名と並べます。

1枚目:郵便局が荷物を預かったことを示す控え(法律の言葉では「日本郵便株式会社から交付を受けた当該郵便物の引受けを証する書類」)

国際郵便マイページサービスでラベルを作ると、EMSなら「EMS受取書」、国際小包なら「国際小包受取書」が印刷されます。これは専用パウチには入れず郵便局の窓口へ提出し、日付印を押されたうえで差出人に返ってきます。この返ってきた紙です。

2枚目:荷物に貼った書類のコピー(法律の言葉では「郵便物に貼り付け、又は添付した書類の写し」)

同じくマイページから「ご依頼主控え」が印刷されます。こちらも窓口へ提出し、引受検査のあとに差出人に返ってきます。貼ったラベルをあとからコピーするのではなく、最初から控えとして切り離せる形で用意されています。

2枚目には、次の4項目が記載されている必要があります。

  • 輸出した事業者の氏名・名称と住所等
  • 品名、品名ごとの数量と価額
  • 受取人の氏名・名称と住所等
  • 日本郵便による引受けの年月日

つまり実務としては、窓口から戻ってきた紙を捨てずにスキャンする、それだけです。逆に言えば、その場で捨ててしまうと後から作り直せません。

小形包装物で送っている場合は、差し出し方から見直しが必要です

通常郵便物(小形包装物・書状など)について条文が求めているのは、「日本郵便から交付を受けた引受けを証する書類」に品名・品名ごとの数量・価額を追記したもの、です。ここで問題になるのが、そもそも引受けを証する書類が交付されるのかという点です。

国際郵便マイページサービスの書類一覧を見ると、EMS・国際小包には「ご依頼主控え」と「受取書」が用意されていますが、小形包装物・印刷物・書状等の通常郵便物の欄には、送り状・税関告知書・インボイス(送り状に添える英語の明細書のことで、消費税の適格請求書とは別物です)しか挙がっていません。記録扱いされないサービスなので、引受けを証する紙が手元に残る形になっていない可能性があります。

ここは自社の差し出し方と窓口の運用によって変わる部分なので、断定はしません。取るべき行動は次のとおりです。

  1. 次に差し出すときに、窓口で「引受けを証する書類をもらえますか」と聞く。もらえるなら、それに品名・数量・価額を書き足して保存します
  2. もらえない場合は、記録扱いのサービスに切り替えるかを検討する。日本郵便は記録が必要な場合として国際エアパケットを案内しています。小形包装物の書留扱いは2025年12月31日で終了しているため、書留にして受領証をもらうという従来の手当ては使えません
  3. 送料が上がる分と、輸出免税を落としたときの負担を比べて決める。判断材料は次の章です

書類がそろわないと、いくら変わるのか

条文の作りは、輸出したから免税、ではありません。決められた書類を決められた期間そろえて置いてあるから免税、です(消費税法7条2項は、「財務省令で定めるところにより証明がされたものでない場合には、適用しない」という書き方をしています)。

書類がなければ、その売上は国内で売ったのと同じ扱い(課税売上)になります。海外の顧客から消費税を預かっているわけではないので、その分は自社の負担です。輸出が中心の会社は、仕入で払った消費税が戻ってくる状態(還付)になっていることが多いため、ここが崩れると戻る金額が減るか、場合によっては納付に変わります。

金額の感覚をつかむために、ひとつ試算します。あくまで前提を置いた計算なので、そのまま自社に当てはめないでください。

  • 年間の郵便での輸出売上が3,000万円(すべて20万円以下)
  • このうち小形包装物で送った分が1,800万円
  • 消費税率10%で計算

1,800万円が免税でなくなると、税抜経理で売上を1,800万円とみている場合、そこに対応する消費税として約180万円が上乗せで発生する計算になります。送料の差額とは桁が違うことが分かると思います。実際の金額は、経理方法・課税売上割合・仕入税額控除の状況で変わるため、自社の数字での試算は個別にご相談ください。

帳簿だけでよかったのは2021年9月までです

ここが、今から確認する価値のあるいちばん大きな点です。20万円以下の郵便物の要件は、2021年(令和3年)10月1日以後に売った分から変わりました。

2021年9月30日まで 2021年10月1日から
認められていたもの 輸出の年月日・品名・数量・価額・受取人を記載した帳簿、または受取人から交付を受けた物品受領書などの書類 郵便局から戻ってくる受取書+ご依頼主控え(EMS・国際小包)/引受けを証する書類に品名等を追記したもの(通常郵便物)
社内の発送記録だけで足りるか 足りた 足りない
相手からの受領書で足りるか 足りた 足りない

改正前は、社内のエクセルに発送記録をきちんと残していれば要件を満たせました。相手が「受け取りました」と書いてくれた書類でも通りました。今はどちらも、それ単独では要件を満たしません。郵便局の側から出てくる紙が要るという点が、改正の中身です。

国税庁の「消費税法改正のお知らせ(令和3年4月)」も、適用開始時期を「令和3年10月1日以後に行われる資産の譲渡等から」(=商品を売った分から)と明記しています。

この改正から5年近く経っていますが、窓口で返される紙は薄く、その場で捨ててしまう習慣が残っていることがあります。2021年10月以降の分でこれをやっていた場合、その分は現在のルールでは証明書類が足りていない状態です。

具体例:月20件をEMSと小形包装物で送っている雑貨店

名古屋で雑貨を扱うC社を例にします。

  • 自社ECで海外向けに販売し、月に20件ほどを発送している
  • 1件あたりの単価は1万〜8万円。20万円を超えることはほとんどない
  • 単価の高いものはEMS、軽くて安いものは小形包装物と使い分けている
  • 発送記録は受注システムに残っており、発送日・商品名・金額・宛先が全件そろっている
  • 窓口で返される紙は、追跡番号を控えたあと捨てている

C社の記録は業務としては十分ですが、消費税の証明としては2021年10月以降の分が要件を満たしていません。受注システムの記録は、改正前に認められていた「帳簿」に相当するものだからです。加えて、小形包装物の分は記録扱いされないため、そもそも引受けを証する紙が出ていない可能性があります。

C社が取れる手当ては次の順になります。

  1. 今日以降の発送分から、返された紙を捨てない運用に切り替える。これは今日から着手できます
  2. 小形包装物の分について、窓口で引受けを証する書類が出るかを確認する。出ないなら国際エアパケットへの切り替えを検討します
  3. さかのぼれる分を集める。国際郵便マイページサービスには発送履歴が残っているため、何が復元できるかをアカウントで確認します。ただしラベルの再出力が「日本郵便から交付を受けた」書類に当たるかは別の論点なので、復元できた範囲で相談に持ち込むのが現実的です
  4. 復元できない期間をどう扱うか決める。金額の規模と過去の申告内容によって判断が分かれるため、個別に相談してください

除外した選択肢として「今から受取人に受領書を書いてもらう」があります。改正前ならこれで足りましたが、現在の条文が求めているのは日本郵便が出す書類なので、この方法では要件を満たしません。

20万円を超えると、必要な書類が入れ替わります

1個の価額が20万円を超えると、ここまでの話は当てはまりません。税関への輸出申告が必要になり、保存する書類も輸出許可通知書(法律の言葉では「税関長が証明した書類」)に変わります。

日本郵便も、内容品の合計価格が20万円を超える(税込み20万1円以上の)郵便物は税関への輸出申告と輸出許可の取得が必要、対象はEMS・国際小包・小形包装物・国際書留等の全て、と案内しています。輸出申告を日本郵便に委任することもでき、その場合は英語で作成した送り状(インボイス)と通関委任状、1件につき2,800円の代行手数料が必要です。ただし記録扱いされない郵便物の通関委任は受け付けられないため、20万円を超えるものを小形包装物で送ることはできません。

逆に、20万円以下であっても、差出人が自分で税関に輸出申告を行う旨を申し出た郵便物は、簡易手続の対象から外れます(関税法76条3項)。この場合に保存するのは、ここまで書いてきた2枚ではなく輸出許可通知書のほうです。書類を1種類にそろえたいという理由で選ぶ余地はありますが、手間と費用が増えるので、件数の多い事業者向けの選択肢ではありません。

なお、税務上20万円を超えるかどうかは、その荷物を実際にいくらで売ったか(お客さまから受け取る商品代金)で判定するのが原則です。国税庁のタックスアンサーはこれをFOB価格と呼んでいます。窓口で聞かれる金額とだいたい同じになりますが、根拠は別なので、20万円ぎりぎりのときは顧問税理士に確認してください。

保存はいつまで、どこに

控えは7年間とっておきます。数え始めは「決算日(法律の言葉では「課税期間の末日」)の翌日から2か月たった日」です。3月決算の会社で2026年3月期の分なら、2026年6月1日から数えて2033年5月末まで、というイメージになります(会社をたたむ手続きに入っていて残余財産が確定した場合は、数え始めが1か月後になります)。

置き場所は、税務署に申告している会社の住所(法律の言葉では「納税地」)か、その取引を扱っている事務所などです。

よくある誤解

「20万円以下に小分けして送れば、輸出申告をしなくて済む」

同じ相手に送る場合は通用しません。消費税法基本通達7-2-23(1)ロの注書きは、次のように定めています。

輸出の時における当該資産の価額が20万円を超えるかどうかの判定は、原則として郵便物一個当たりの価額によるが、郵便物を同一受取人に2個以上に分けて差し出す場合には、それらの郵便物の価額の合計額による。

日本郵便にも似た扱いがあり、同一の宛先へ同一の郵便種別で同時に複数個を発送する場合(複数個口)は、全ての梱包を合わせた合計価格で20万円超かどうかを判定し、代行手数料も全体で1件として扱う、と案内しています。

ただし、この2つの判定基準は同じではありません。ここが実務でいちばん危ない穴なので、分けて書きます。

郵便局(複数個口) 消費税(通達7-2-23(1)ロ注)
合算する条件 同一の宛先へ 同一の郵便種別で同時に 発送 郵便物を 同一受取人に2個以上に分けて差し出す 場合
郵便種別が違うとき 別扱い 条件になっていない
日をずらしたとき 別扱い 条件になっていない

つまり、同じバイヤーに15万円分をEMSで、10万円分を国際小包で出した場合や、今日と明日に分けて出した場合、郵便局の窓口では複数個口に当たらず輸出申告を求められないことがあります。窓口で輸出申告が要らないと言われたことは、消費税の側でも20万円以下として扱ってよいという意味ではありません。同じ相手に分けて送っている取引がある場合は、合計額で見たときにどうなるかを確認してください。

「スキャンして紙を捨てたら、電子帳簿保存法違反になる」

そうではありません。施行規則5条4項は、保存すべき書類にその電磁的記録(電子データ)を含むとしています。ただしデータのまま保存する場合は、同条5項により「あとから勝手に書き換えられない仕組み」を1つ用意する必要があります。電子帳簿保存法施行規則4条1項が挙げているのは次の4つで、このいずれかを行います。

  1. タイムスタンプが付されたものを受け取る
  2. 受け取ったあと速やかにタイムスタンプを付す
  3. 訂正・削除の履歴が残る、または訂正・削除ができないシステムで授受・保存する
  4. 正当な理由がない訂正・削除の防止に関する事務処理の規程を定めて運用し、その規程を備え付ける

社内で用意しやすいのは4つめです。共有フォルダにPDFを置いているだけだと、どれにも当たりません。

逆に、データを普通に読める形でプリントアウトした紙で保存することも認められています(施行規則5条6項の「整然とした形式及び明瞭な状態で出力したもの」)。電子取引データを紙だけで保存することが認められない電子帳簿保存法のルールと混同されやすいところですが、輸出免税の証明書類については出力保存が条文上はっきり認められています。

「書類がなくても、実際に輸出したことを説明できれば大丈夫」

条文は、書類または帳簿を整理し保存することによって証明がされたものとする、という作りになっています。保存そのものが要件なので、輸出した事実を別の資料で説明できることと、要件を満たしていることは別の話になります。

Q&A

Q. スキャンした画像だけ残して、紙は捨ててよいですか。

上の4つの措置のどれかを整えるまでは、紙も残しておくことをおすすめします。整えてからデータのみに移行するのが安全な順序です。共有フォルダに入れているだけの状態で紙を処分すると、書類はあったのに要件を満たさない、という一番もったいない形になります。

Q. 2021年10月より前の分は、今から用意しなくてよいですか。

その時期の分は、当時のルール(発送記録を残した帳簿、または受取人からの物品受領書など)で判断されます。7年保存の対象なので、当時の帳簿類が残っているかは確認しておいてください。

Q. 7年より前の分は捨ててよいですか。

7年を過ぎた分は保存義務の対象外です。なお7年のうち、数え始めから5年を経過した日以後の期間については、財務大臣の定める方法による保存が認められています(施行規則5条3項)。7年間ずっと同じ形で持ち続ける必要はありません。

Q. 代金の受け取り方で、必要な書類が増えると聞きました。

2026年10月1日以後に行われる資産の譲渡または貸付けについては、代金を現金で受け取る場合など一定の場合に、ここまでに書いた書類に加えて、送り先の国(仕向国)の税関などが出した輸入許可書に相当する書類の保存が必要になります。条文上は「国税庁長官が指定するもの」(指定書類)とされ、その中身は国税庁告示第1号(令和8年3月31日)が定めています。告示によれば、仕向国の税関その他行政機関が証明した書類で、①その行政機関の名称、②輸入年月日、③資産の内容、④資産の金額、⑤書類の交付を受ける者の氏名または名称、の5項目が記載されたもの(またはその写し)です。送り状や配送業者の書類では代わりになりません。

この手当ては郵便で送った分(施行規則5条1項2号)にも入っています。取引先からの通常の銀行振込であれば追加は不要ですが、決済代行やプラットフォーム経由の入金がこれに当たるかは公表資料で当てはめが示されていないため、自社の入金形態を持って個別にご確認ください。

Q. 顧問税理士に相談するとき、何を持っていけばよいですか。

次の4つがあれば話が早いです。①直近1年の郵便での輸出売上高、②郵便種別ごとの件数の内訳(EMS・国際小包・小形包装物・エアパケット)、③窓口で返される紙を残しているか、いつから残しているか、④代金の受け取り方(銀行振込・プラットフォーム経由・現金)。

明日からできる確認

上から順に見ていけば、自社がどの状態かがつかめます。

発送方法の棚卸し(15分ほど)

  1. 直近1年の海外発送を、郵便種別ごとに件数と金額で分ける(EMS・国際小包・国際エアパケット・小形包装物・書状)
  2. 小形包装物の件数と金額を確認する。ここが大きいほど、この記事の影響が大きくなります
  3. 1個20万円を超えたものがあったか確認する。あれば輸出許可通知書が手元にあるかを見る

過去分の確認(記事の本題です)

  1. 2021年10月以降の発送について、窓口から返された紙を残しているかを確認する。残していない期間があれば、いつからいつまでかを書き出す
  2. 残っているものについて、EMS・国際小包なら受取書とご依頼主控えの2枚がそろっているか、4項目(自社名と住所/品名・数量・価額/受取人と住所/引受年月日)が埋まっているかまで見る
  3. 国際郵便マイページサービスにログインし、発送履歴が何年分さかのぼれるかを確認する

今日以降の運用(ここを変えないと同じことが続きます)

  1. 郵便局から戻ったら、返された紙をその日のうちにスキャンし、受注番号のフォルダに入れる、という手順を決める
  2. 差し出す前に、控えの4項目が埋まっているかを見る。埋まっていなければ窓口で書き足す
  3. 小形包装物で送っている分について、窓口で引受けを証する書類が出るかを確認する。出ないなら国際エアパケットへの切り替えを検討する

数値や条文はこの記事の執筆時点(2026年8月)のものです。自社のケースをそのまま当てはめる前に、金額の規模や過去の申告内容も含めて個別にご相談ください。

参考(一次情報)

#輸出免税#消費税#越境EC#国際郵便#EMS

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